パンフレットの作り方|企画と原稿づくりのコツ(目的設定・情報整理・文章の書き方)

パンフレットの作り方|企画と原稿づくりのコツ(目的設定・情報整理・文章の書き方)

「パンフレットを作ってほしい」と頼まれたとき、いきなりデザインソフトを開いていませんか?

パンフレットの出来は、デザインに入る前の「企画」と「原稿」でほぼ決まります。なぜなら、何を・誰に・どの順番で伝えるかが決まっていないと、どれだけレイアウトを整えても伝わらないからです。

私は以前、地域の農業支援系NPO法人で、会員向けの定期購読誌の企画・取材・ライティングに携わっていました。この記事では、そこで身につけた企画と原稿づくりの進め方を、4つのステップでまとめます。

なお、面付け・ページ数・余白など「紙面の組み方」は、冊子・パンフレットデザインの基本|見開きレイアウトと情報整理のコツで解説しています。この記事では、その前段階にあたる企画と文章に絞ってお伝えします。

目次

パンフレットの作り方は「企画テーマ」から|雑誌制作で最初にやっていた4つのこと

雑誌制作の企画段階で、私がまずやっていたのは次の4つです。

  • 全体の企画テーマを決める
  • 構成を決める
  • ページを割り振る
  • ラフを描く

中でも一番重視していたのが、企画テーマです。具体的には、「何を伝えたいのか」「読んだ人にどんな気持ちになって、どんな行動につなげてほしいのか」をはっきりさせてから、構成づくりに進んでいました。この考え方は、パンフレットでもそのまま使えます。

また、チラシのデザインと同じく、企画の段階でデザインの方向性も決めておきます。具体的には、例となるデザインをいくつか出して、どのトーンがよいかを確認します。方向性を早めにそろえておくと、原稿の書き方(言葉の硬さや雰囲気)もぶれにくくなります。参考デザインの探し方は、Pinterestヒアリング術|クライアントとのイメージのズレを防ぐ検索の仕方で紹介しています。

パンフレットづくりの全体の流れ

まずは全体像です。パンフレットは、おおむね次の順番で作っていきます。

  1. 企画(目的と読み手を決める)
  2. 情報整理(載せる内容を選ぶ)
  3. 構成(ページの順番と役割を決める)
  4. 原稿(文章を書く・集める)
  5. デザイン・入稿

この記事で扱うのは1〜4です。ここを飛ばしてデザインに入ると、あとから「やっぱりこの情報も入れたい」「順番を変えたい」という修正が増えます。その結果、レイアウトを何度も組み直すことになります。

ステップ1:目的と読み手を「1行」で決める

最初に決めるのは、パンフレットの目的と読み手です。具体的には、次の3つを1行ずつ書き出します。

  • 誰に:どんな人が手に取るのか(年代、立場、知識量)
  • 何を:一番伝えたいことは何か
  • どうしてほしいか:読み終えたあと、どんな行動をしてほしいか

例えば、農産物の直売所のパンフレットなら、次のようになります。

  • 誰に:近隣に住む30〜50代の家族
  • 何を:朝採れ野菜が手頃な価格で買えること
  • どうしてほしいか:週末に一度足を運んでもらう
パンフレットの目的設定メモ。誰に・何を・どうしてほしいかを1行ずつ書いた例

この3行が決まると、載せる情報の優先順位が自然と決まります。逆に、ここが曖昧なまま進めると、「会社の歴史も、商品も、採用情報も全部載せたい」という状態になりがちです。

ポイントは、「どうしてほしいか」を必ず決めることです。なぜなら、パンフレットは読んで終わりではなく、問い合わせや来店などの行動につなげるためのツールだからです。行動が決まれば、最後のページに何を置くかも決まります。

クライアント案件の場合は、この3行を打ち合わせで一緒に確認しておくと安心です。ヒアリングの進め方は、Web制作のヒアリングが苦手な人へ|そのまま仕様書になるヒアリングシート無料配布も参考にしてください。

ステップ2:載せたい情報を全部出して、削る

目的が決まったら、次は情報整理です。進め方はシンプルで、「全部出す→分ける→削る」の3段階です。

1. まず全部書き出す

最初は遠慮せず、載せたい情報をすべて箇条書きにします。会社概要、商品・サービス、価格、実績、お客様の声、アクセス、問い合わせ先などです。この段階では、良し悪しを判断しなくて大丈夫です。

2. 3つのグループに分ける

次に、書き出した情報を3つに分けます。

  • 必ず載せる:目的の達成に欠かせない情報
  • あると良い:信頼感や理解を深める情報
  • 今回は載せない:別の媒体(Webサイトなど)で伝えられる情報
パンフレットに載せる情報を「必ず載せる・あると良い・今回は載せない」に仕分けた例

3. 「載せない情報」を決める

情報整理で一番大事なのは、何を載せないかを決めることです。

パンフレットは紙面が限られています。そのため、情報を詰め込むほど1つひとつの印象が薄くなります。「詳しくはWebサイトへ」とQRコードで誘導すれば、紙面には要点だけを残せます。

私自身も、ラフの段階で写真の大きさや文字数を決めていくなかで、情報を削ることがあります。紙面に実際に当てはめてみると、「この量は入りきらない」と分かるからです。

ただし、削るのはデザイナーの判断だけではありません。クライアントが載せたい文章については、クライアント自身に削ってもらうこともあります。あるいは、こちらで短くリライトして提案することもあります。どちらの場合も、「目的に照らして必要か」という基準を共有しておくと、話がスムーズに進みます。

ステップ3:構成を決める(ページごとの役割)

情報を絞り込んだら、どの順番で見せるかを決めます。読み手の気持ちの流れに沿って並べるのが基本です。

一般的な商品・サービス案内なら、次の流れが使いやすいです。

順番役割載せる内容の例
表紙手に取ってもらうキャッチコピー、メイン写真、名前
導入興味を持ってもらう読み手の悩みへの共感、リード文
特徴魅力を伝える選ばれる理由を3つ程度に絞って
詳細判断材料を渡す商品・料金・サービスの流れ
信頼不安を消す実績、お客様の声、スタッフ紹介
行動次の一歩を促す問い合わせ先、地図、QRコード

構成を決めるときは、各ページに「このページの役割」を一言で書いておくのがおすすめです。例えば「2ページ目=共感して読み進めてもらう」のように書きます。こうしておくと、原稿を書くときに迷いません。

あわせて、ページの割り振りが決まったらラフを描きます。私も雑誌制作では、このラフに特に重点を置いていました。ラフは手書きで十分です。この段階で決めるのは、細かなレイアウトではなく「どのページに何を書くか」だからです。

16ページのパンフレット構成案。ページごとに写真と文字の配置を割り振ったラフの例

ステップ4:伝わる原稿の書き方

構成が決まったら、いよいよ原稿です。パンフレットの文章は、Webの記事とも小説とも違います。具体的には、「流し読みされる前提」で書く必要があります。

見出しだけで内容が伝わるようにする

パンフレットを手に取った人の多くは、本文を最初から読みません。まず見出しと写真をざっと眺めて、気になったところだけ読みます。

そのため、見出しは「特徴」「サービス内容」のような項目名ではなく、中身が分かる一文にします。

  • ×:当社の特徴
  • ○:朝採れ野菜を、その日のうちに店頭へ
パンフレットの見出しのBefore/After。「当社の特徴」から中身が伝わる一文への改善例

見出しだけを拾い読みしても、言いたいことが伝わる。この状態を目指します。

1つのブロックに1つのメッセージ

1つの見出しの下では、伝えることを1つに絞ります。ただし、内容を削るという意味ではありません。言いたいことが2つあるなら、見出しを2つに分ける、ということです。

抽象的な言葉より、数字と具体例

「新鮮」「こだわり」「安心」といった言葉は、どの会社も使っています。そのため、読み手の記憶に残りにくいのが難点です。

代わりに、数字や具体的な事実で書きます。

  • ×:新鮮な野菜をお届けします
  • ○:朝6時に収穫した野菜を、9時の開店に並べています

数字が入るだけで、読み手は「どのくらい新鮮か」を具体的にイメージできます。

1文は短く、専門用語は言い換える

パンフレットは、小さな文字で読まれることが多い媒体です。だからこそ、1文はできるだけ短くします。目安は、1文で1つのことだけを言う長さです。

また、業界の中では当たり前の言葉も、読み手にとっては分からないことがあります。原稿ができたら、その業界を知らない人に読んでもらうと、引っかかる言葉が見つかります。

写真のキャプションも原稿の一部

意外と見落としがちなのが、写真に添えるキャプション(説明文)です。写真は本文より先に見られるため、キャプションは本文より読まれやすい場所でもあります。

「店内の様子」で終わらせず、「地元の常連さんが毎朝立ち寄る売り場」のように、写真から伝えたいことを一言添えると効果的です。

全体のトーンをそろえる

原稿を書く・直すときに、私が気をつけているのは読みやすさと文章の長さです。そして、もう1つ大切にしているのが、トーンの統一です。

パンフレットの原稿は、複数の人が書いたものを集めることがよくあります。その結果、あるページは「です・ます」、別のページは「だ・である」というように、言葉づかいがばらばらになりがちです。語尾や言葉の硬さがそろっていないと、読み手は無意識に違和感を覚えます。そのため、原稿がそろった段階で全体を通して読み、トーンを整えるようにしています。

「文章が苦手」「センスがないから書けない」と感じている方には、『文章は型が9割』(高橋フミアキ著)という本もあります。タイトルが示すとおり、文章はセンスよりも型で書ける、という考え方の一冊です。

デザインと同じように、文章にも型があります。そう知っておくだけでも、原稿づくりへの苦手意識はぐっと軽くなるはずです。

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クライアントから原稿が届かないときの進め方

パンフレット制作の現場では、「原稿はこちらで用意します」と言われたまま、なかなか届かないことがあります。原稿づくりは、多くの人にとって苦手な作業だからです。

私の場合は、次の流れで対応しています。

  1. 事前に原稿の締め切りを決めておく:制作スケジュールを組む段階で、原稿の提出日も一緒に決めます
  2. 締め切りの2日前くらいにリマインドする:「○日に原稿をいただく予定です」と一言連絡を入れます
  3. それでも届かない場合は、取材を提案する:こちらで取材して原稿を作ることもできると伝えます

3つ目の取材を提案するときは、その場合の費用もあわせて相談します。なぜなら、取材と原稿作成はデザインとは別の作業で、作業量も大きく変わるからです。費用を先に伝えておけば、クライアントは「自分で書くか、任せるか」を判断しやすくなります。

見積もりの考え方は案件単価を上げる「提案書・見積書」の作り方で解説しています。

なお、取材や原稿作成まで自分で抱えるのが難しい場合は、外部のライターに依頼する方法もあります。ココナラでは文章作成やライティングのサービスも出品されているので、予算や内容に合わせて依頼先を探せます。

デザインに入る前の原稿チェックリスト

最後に、原稿をデザイナーに渡す前(またはデザインに入る前)に確認したい項目をまとめます。

  • 目的・読み手・してほしい行動が、それぞれ1行で言える
  • 「今回は載せない情報」を決めてある
  • 各ページの役割が一言で書いてある
  • 見出しだけを拾い読みしても内容が伝わる
  • 抽象的な言葉が、数字や具体例に置き換わっている
  • 専門用語に説明か言い換えがある
  • 語尾や言葉の硬さなど、全体のトーンがそろっている
  • 写真ごとのキャプションがある
  • 問い合わせ先・URL・営業時間などの事実が確認済み

特に最後の事実確認は、印刷後には直せません。電話番号や住所の1文字の誤りが、刷り直しにつながることもあります。そのため、必ずクライアント本人に最終確認をお願いしましょう。

まとめ

パンフレットの作り方は、デザインより前の段階が肝心です。

  • 目的・読み手・してほしい行動を、それぞれ1行で決める
  • 情報は「全部出す→分ける→削る」で整理し、載せない情報を決める
  • ページごとに役割を決めてから、原稿を書く
  • 原稿は流し読み前提で、見出し・数字・キャプションを工夫し、トーンをそろえる
  • 原稿の締め切りは事前に決め、届かないときは取材と費用を相談する

企画と原稿が固まっていれば、デザインの作業は驚くほどスムーズに進みます。次にパンフレットを作るときは、ソフトを開く前に、まず紙とペンで3行を書くところから始めてみてください。

紙面の組み方(面付け・ページ数・余白)については、冊子・パンフレットデザインの基本|見開きレイアウトと情報整理のコツもあわせてご覧ください。

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