チラシ1枚のデザインとは違い、冊子やパンフレットには「ページをまたぐ」特有の難しさがあります。見開きでの見え方、ページ数の制約、綴じる部分の処理など、1枚もののデザインでは気にしなくていいポイントが一気に増えます。
私は以前、農業法人の広報担当として、社内報のような冊子・雑誌の制作を任されていた時期がありました。この記事では、そのときに体で覚えた冊子・パンフレットデザインの基本を、実務のポイントに絞ってまとめます。
まず「面付け」でページ構成を考える
冊子のデザインを始めるとき、私が最初にやるのは面付けです。面付けとは、印刷用紙の上にどのページをどう配置するかを決める作業のことです。

いきなり1ページ目から順番にデザインを作り始めるのではなく、先に全体のページ構成(表紙・目次・各コーナー・裏表紙など)をざっくり組んでから、個別のページ制作に入ります。全体の流れを先に決めておくことで、「ここに写真が多いページを挟みたい」「この特集は見開きで大きく見せたい」といった構成の調整が、あとから効率よくできるようになります。
ページ数は4の倍数にする
冊子デザインで最初につまずきやすいのが、ページ数のルールです。特に中綴じ(用紙を重ねて真ん中をホチキス留めする、雑誌などでよく見る製本方法)の場合、ページ数は必ず4の倍数にする必要があります。
これは、1枚の用紙を二つ折りにすると、表裏で4ページ分の印刷面ができるという製本の構造上の理由です。4の倍数になっていないと、そもそも中綴じでは製本できません。
もし4の倍数にならない場合は、どこかに白紙のページを1枚挟んで帳尻を合わせる必要があります。私も、この4の倍数を意識せずにページ構成を組んでしまい、あとから白紙ページを無理やり挿入する羽目になった経験があります。ページ構成を考える最初の段階から、4の倍数になっているかを確認しておくと、あとの手戻りを防げます。
印刷入稿全般の注意点(塗り足し・アウトライン化・画像の埋め込みなど)については納品データ・入稿データの作り方|Webバナー(Photoshop)と印刷入稿(Illustrator)の基本でも解説しているので、あわせて確認してみてください。
綴じ部分(ノド)にテキストや写真を重ねない
見開きのレイアウトを作るときに特に注意しているのが、綴じ部分(ノドと呼ばれる、見開きの中央にあたる部分)の扱いです。
中綴じ・無線綴じにかかわらず、ノドの部分は製本の都合上、紙が完全にフラットには開きません。そのため、ノドをまたいで文字を配置すると読みにくくなったり、写真の中心の被写体がちょうどノドに重なって見えづらくなったりします。
見開きで写真を大きく使いたいときは、被写体の位置がノドにかからないように配置を調整する、文字要素はノドから離れた位置にまとめる、といった配慮が必要です。反対に、見開きの両端(小口と呼ばれる部分)は断裁時に少し削られることがあるため、こちらも文字や重要な要素を端ギリギリに置かないようにしています。
チラシなど単ページのデザインにおける文字サイズや視線誘導の考え方についてはイベントチラシの文字サイズはptで決める!要素別の目安と視線誘導のルールでもまとめているので、紙媒体全般のルールとしてあわせて参考にしてください。

余白の設定
もう一つ意識しているのが余白です。ページいっぱいに情報を詰め込むと、窮屈で読みにくい誌面になってしまいます。特に冊子は複数ページにわたって読み進めてもらうものなので、ページごとに余白の取り方がバラバラだと、読み手は無意識にストレスを感じます。
天地左右の余白、見出しと本文の間隔など、基本的な余白のルールをページ全体で統一しておくことで、情報が整理された読みやすい誌面になります。面付けの段階で大まかな構成を決めておくと、この余白のルールも全ページに一貫して適用しやすくなります。
まとめ
冊子・パンフレットデザインは、1枚もののデザインとは違うルールがいくつもあります。
- 個別ページを作る前に、面付けでページ構成をざっくり組む
- 中綴じの場合、ページ数は必ず4の倍数にする
- ノド(綴じ部分)にテキストや写真の重要な部分が重ならないようにする
- 天地左右の余白を全ページで統一し、読みやすさを保つ
どれも地味なポイントですが、知らずに進めると印刷段階で手戻りが発生しやすい部分です。冊子・パンフレットのデザインに取り組む際は、ぜひ意識してみてください。
